おとめとその御子を讃える者は
おとめと御子に祝せらる
それは比類なきこと
1. このような主題において、あなたが望むなら、
おとめが行った奇跡の話をしましょう。
おとめはいつも、私たちが良き行いをして御子の
御国を引き継ぐことを願っている。最初の女が
大きな間違いをおかしたため、私たちが追放されてしまった御国を。
2. 女は、神がどんな時にも食べてはいけないと言った
りんごを食べた。彼女がそれを食べ、夫のアダムに
も食べさせたので、神は彼らをパラダイスから遠ざけ、
受け継げないようにした。
3. しかし、良心と知恵のある聖マリアは、昔も今も、
彼女の父であり子である神が、私たちにその良いものを
くださる道を探している。神が住まい、
永遠に苦しみも痛みもなく、神が共におられる国を。
4. 大いなる奇跡が起こった。
私にこの話をした善良な男によると、ヴェネチアの
裕福な男に起こった奇跡だそうだ。彼の子供たちは、
みな早く死んでしまった。
5. これに深く嘆き、彼は一人残った息子を修道院の
修道院長に預け、育ててもらうことにした。
父親が熱心に頼みこんだので、修道院長はその子を
引き取り、大事に
6. 修道院で育てた。聞くところによると、
彼は撫でながら「息子よ」と呼び、繰り返しこう言った
「ここにあるものはすべてお前の物だよ」
そして修道院の中で遊ばせてやった。
7. そのように遊んでいたある日、少年は教会に入って
聖母子像を見つけた。御子の美しさのあまり、
御子を見つめて笑い、御子を深く愛するようになった。
8. 少年は御子を愛するあまり、たびたび御子を見に行った。
その喜びに勝るものはなかったのだ。
ただ、だれも御子に食べ物をあげないので、
心配するようになった。
9. その時、その場で少年は、自分の食べ物を
御子に分けてあげようと誓いをたてた。
少年は食事に行き、自分の分のほとんどを
御子のためにとっておくことにした。
10. 食べ終えると、少年はすぐに退出して教会へと急ぐと、
祭壇によじ登り、もらった食べ物を御子の前に広げて(懇願した)
11. 食べてくださいと懇願した。少年は言った
「これから毎日、ぼくがもらう食べ物を少し
きみのためにもって来るよ。だからお願いだよ、
おともだち、食べてちょうだい。だってこれを食べないと、
ほかに誰も食べ物をもってきてくれないんだもの。」
12. 少年はまさに15日間これを行った。
すると、ある日尊いおとめの御子が、少年にこう言った
「明日私と私の父と共に食事をしよう。
そうでなければ、二度とお前と共に食べることはない。」
13. 修道院長は少年の顔つきが変わり、痩せていくのに気付き、
少年にやさしく問いかけた「息子よ、食べ物が足りないなら、
もっとあげよう。痩せてきているようだから。」
14. すると少年は答えた「お肉にワインにパン、
ああファーザー、みなさん気前よくぼくに用意してくれます。
でもぼくはいただいたもののほとんどをあの子に持って行き、
さしあげているのです。」
15. これを聞くと修道院長は、少年にこう言った
「ああなんということだ!
それで、お前がそんなに好意を示しているあの子とは、
いったい誰だね?」
少年は答えた「祭壇に座っている女性の子です。
だれもその子に食べ物をあげないので、
お腹がすいているように見えました。」
16. フェリックスと呼ばれる修道院長は、少年に言った
「息子よ、その子はお前が持って行ったものを食べるかね?
お前になんと声をかけるのかね?」
少年は答えた「毎日食べてくれます。
話したことは一度もありません。でも今日は、(誘ってくれました)
17. その子とその子のお父さんと一緒に、
明日食事をしようと誘ってくれました。」
すると修道院道はこう言った「そう言われたなら、
お前は必ず彼らと一緒に食事をするだろう。
そんなすてきな食事なら、ぜひとも私も一緒に行かせておくれ。」
18. それから修道院長は修道士たちを集めてこう言った
「聞いておくれ、友よ、明日私は去らねばならない。
神において、そうなると確信しておる。
だから私の後任に修道士ドン・マテウスを選んでほしい。」
19. 修道院長はどうやってそれを知ったのか、
そして少年とどんな話をしたのかを明かし、言った
「霊的なおとめとその祝福された御子が、
御子を心から愛するあの子にすばらしいごほうびをくださるのだ。」
20. 夜が更け、夜明け前、奇跡の話によると、
修道院長と少年は病気になった。
6時、イエス・キリストがわれらのため
に十字架にかかったその時間に、二人は死んだ。